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橙里の顔を見ると、くちびるからは稜のものであろう唾液が扇情的に垂れ流れ、煽られる。 そういえば、高校生のときにキスをしたときにもこんな顔をしていた。まあ、突き飛ばされて関係が崩れてしまったが。 「は……ぁ」 橙里が赤い舌で潤ったくちびるの周りに付着した透明な唾液を取ろうとした。 それが無理だとわかると綺麗な形をした指で掬い取り、口の中に入れた。 躊躇いもなく他人の、いや、稜の唾液を咥内に含むなんて、十数年前は互いに無理だっただろう。 ──エロいな。 心の中でそう思ってから、橙里のことを横抱きする。思いの外軽い身体はすぐに稜の言いなりになり、抵抗をやめた。 「……重い?」 「……重くねえよ」 くぐもった声で女のようなことを言うものだから、思わず苦笑してしまった。橙里はいつも稜の想像の上を超えてくるから面白い。 出来ることならば、今すぐにでも自分のものにしてしまいたい。

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