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稜に横抱きされ、連れてこられたのは寝室。さすがにもう見慣れた光景だが、寝室は外のようにひんやりとして寒かった。 「寒い」 「暖房付けるか」 橙里がそう訴えると、稜が暖房の電源を付ける。きっと、寒がりな橙里のことを思って付けてくれたのだろう。まあ、寒がりなのはお互いさまなのだが。 部屋が温まるまでの間、特に服を脱ぐつもりにもなれず黙っていると、稜がベッドの下からなにかの箱を取り出した。それを見る為に稜の隣にぴったりとくっつく。 「……なにそれ」 「玩具」 「がっ……」 稜が躊躇いもなく乱雑に箱を開け、生々しいピンク色をしたそれを手に取った。大きさも形もリアルで、思わず引いてしまう。というか、いつの間にこんなものを買ったんだ。

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