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橙里の顔の下にある枕は稜のもので、先ほどから稜の匂いが直に匂ってきて辛いのだ。
臭いわけではない。稜の匂いは今の橙里には刺激が強すぎて、稜に抱かれているように感じてしまう。自分の身体がおかしくなった証拠でもあるだろう。
与えられる快感になんとか耐えようと、無意識に枕を引き寄せ稜の匂いを堪能していた。
すると、それに稜が気づいてしまう。
「……俺の匂いが好きなのか」
「えっ……なんっ……ぅーんっ……!」
振り向こうとすると、稜にキスをされる。稜は香水などは一切つけておらず、本来なら無臭のはずなのに何故か甘い匂いがした。
熱い舌が橙里の咥内を隅まで蹂躙する。それは苦しいのに気持ちよく、橙里の身体はすっかり稜に作り替えられてしまった。
「ふぅんっ……ん、はあっ!」
やっと口が離れ、長いキスに思わず噎せた。大きい咳をしていると、稜が背中を摩ってくる。背中を摩る効果があるとは思えないが、稜の優しさが嬉しかった。
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