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「ぃあっ……は、ああっ!」 ベッドのスプリングが軋む音が一定のリズムで聞こえる。その音は橙里の耳に響き、さらに稜の荒い息遣いが微かに聞こえて、甘いスパイスとなって橙里の身体に振りかかってきた。 どうして、こんなことやってるんだろう。 身体だけで繋がっても、心が繋がらないと意味がないと思ってしまうのは単なる思いすぎなのだろうか。 それとも普通なのだろうか。 もう、わからない。 稜の心がどこに向いているのか、稜は橙里のなにを見ているのか、知りたい。 だったら今すぐにでもこんなことはやめるべきなのに、それが出来ない。 その答えは単純だ。 稜が好きで、稜から与えられるものならなんでも欲しいと思ってしまうから。 「もっと……」 「あ?」 「もっとやって……」 稜の手を掴み、大粒の涙でぐしょぐしょになった顔を稜に向けて懇願する。その顔は赤く染まっていた。

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