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「悪ぃ。キスし過ぎたかもな」
「キスし過ぎるとこうなんの?」
「……さあ」
稜が橙里のくちびるに触れた。稜が触れたところがぷにっとへこみ、縦じわなど一切ない艶やかなくちびるは橙里の顔をより一層綺麗に見せていた。
くちびるを触る手つきがなんとも官能的で、煽られるような気がするがさすがに歳なので我慢する。
「稜って三十三だよね?」
「互いにな」
「こういう……やらしいことしても疲れないの?」
恐る恐る聞いてみると、稜が考えるように顎に手を当てた。
──あ、考えるフリしてる。
稜は基本的に悩まない。いつもスパスパと答えを出す為その潔さが好きだったのだが、たまにこうやって考えるフリをするのだ。
きっとこれは橙里しか知らない。
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