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『……で?』 『あ?』 『好きな人誰?』 『……なんでそんなに気になるんだよ』 稜が呆れたように目を閉じ、青色のネクタイを緩める。その姿は、高校生とは思えないほど色気に満ち溢れていた。 橙里が頬杖をついて聞くと、稜が橙里の目をじっと見つめる。この頃はただ純粋にかっこいいとしか思っていなかったか、それとももう好きだったのか今となってはすっかりわからない。 『俺の周りにいる奴』 『……ふーん……どんな子?』 『そうだな……阿呆で馬鹿で、無駄に正直だから真っ直ぐ過ぎて呆れるし負けず嫌いでよく墓穴を掘る』 『えーめっちゃ言うじゃん』 『……でも』 稜が言葉を切った。そこから慈愛に満ちたような顔になり、目を伏せた。 『優しくてかわいくて、曲がったことが嫌いで誰にも優しく接しられる。泣き虫でよく泣くけど、強がるところも最高にかわいい』 『……へー……その子のこと大好きなんだね』 稜がそこまで人のことを好きになるとは思わなくて、素直にそう言うと稜が橙里の目を見て言った。 『……大好きだよ』

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