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「……っ」
目を覚ますと、頭痛がした。
どうやら自分は夢を見ていたようだ。夢にしてはやけにリアルで鮮明だったが、夢ならなんでもアリなのだろう。
やけに身体が重くて、だるい。今日は日曜日で、休みだからゆっくり出来るのだがこの倦怠感はおかしい。
「……大丈夫か? 魘 されてたけど」
「え……なんか言ってた?」
「ああ。……声もおかしいな」
稜から渡された水を飲むと、喉の奥が痛みを訴えた。この痛みは、何度も経験したことのある痛みだ。
「……体温計は?」
「ん」
夢で見た稜は今目の前にいる稜とは違い色気で満ち溢れている。
稜は今でも『あの子』のことを好きなのだろうか。橙里にはどうせわからないが。
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