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脇に挟んだ体温計が電子音を鳴らす。表示された数字は。 「……三十八・七」 「高ぇな……今日は安静にしていろ」 「えー……じゃあ、今日無理?」 「……向こうには俺から言っておくから」 実は、今日は中学生の頃によく一緒にいた友人と会う予定だったのだ。その為楽しみにしていたのだが、会えないのは残念だと思う。 橙里はよく熱を出すのだが、いつも高熱を出す。年齢を重ねるにつれて頻度は減ってきた。それでも一回一回が重い為、身体に大きい負担がかかる。 「とりあえず……なんか食うか?」 「うーん……食欲ないんだよね」 「……なにか食って薬飲んだ方がいいな。ちょっと待ってろ」 橙里の頭をぽんと撫で、消えていった。取り残されたような気持ちになり、橙里は無意識に稜が使っていた枕を抱きしめて横たわる。 意識し始めてからは余計辛くなり、息遣いも荒くなる。 目を閉じると急に不安に駆られ、目を開けてなんとか耐えているとベッドが軋む音がした。

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