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しばらくその状態が続き、口で息をしていると稜がやってきた。
「……稜……」
「お粥。そこまで熱くしてないし、そんなに多くないから。無理して食わなくていい。あと、食ったら薬飲め」
「ありがと……」
むくっと起き上がり、木製のスプーンを掴む。だが思うように力が入らず、お粥を掬えずにいると稜が近くに来た。
「そうだった。おまえ、熱出すと力入んなくなるもんな。ほら」
稜が橙里の手からスプーンを取り、橙里の代わりにお粥を掬って橙里の口の前まで運んだ。
これは所謂あーんというやつで。
高熱でぼーっとするもののこれが恥ずかしい行為だということはわかる。
口を開けるとスプーンが入ってきて、スプーンを咥えると稜がゆっくりとスプーンを抜いた。
口中に優しい味が広がり、ほどよく温かいお粥に稜の気遣いが表れているように感じる。
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