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「なんか欲しいもんあるか」 「……うーん……特に」 「わかった」 そう言いながら稜が上の服を脱ぎ捨てた。美しく均整がある肉体が晒され、思わず目を背けてしまった。 色気がありすぎる。 稜が適当に取ったらしい服を着て、下も雑に脱いでから無駄のない動きでパンツを履いていた。 襟付きの洒落ている無地のトップスにネイビーのスキニーを着ている稜はモデルのようで、雑誌から飛び出してきたみたいだ。 稜がハンガーを適当に取り、ロングのニットカーディガンを羽織った。それだけで大人の男性に変貌する。 ──やっぱかっこいいよなあ。 「……なに」 「ううん、なんでも」 「おまえみたいに悩まねえからな」 「いや、服は悩むでしょ。だって美容師だよ?」 「服より髪だろ、普通」 稜が髪を適当に手櫛で整えてからシルバーネックレスを付けていた。そういうものを付けるのでお洒落といえばお洒落なのだが、見た目が良すぎて近寄り難くなるのではないだろうか。

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