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「……やべえな」
稜は限りなく小さい声でそう呟き、大股で歩き始める。橙里は熱を出すと思考が鈍り、子どものようになるので稜にしか助けを求められないだろう。
だとしたら、かなり橙里は今心細くなっているはず。
一目散に電話ボックスの中に入り、公衆電話を操作する。もしものときに、と操作方法を身につけておいて本当によかった。
当然橙里の携帯の電話番号も把握しているので迷いなく指を動かしていく。通話ボタンを押してから受話器を右耳に当てた。
出てくれ。そう願うばかりだ。心拍数が上がるのがわかる。心臓が破裂しそうなほど焦っていて、なんとか鎮めようとするも治まらない。橙里がどれだけ壊れるか稜が一番よくわかっている為、その不安も大きいのかもしれない。
自分らしくないと思いながらも無機質な音を聞く。
すると、橙里が電話に応じたような音がした。
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