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幹が自信に溢れたように厚い胸元をどんと叩いて微笑んだ。 別に幹には一切関係ないのだが、ちょっとした嘘でもついておこう。 「大丈夫だよ。ちょっとお腹痛いだけ」 「あらあ! 大丈夫なのお?」 「うん。今は平気」 ちょろいな。そう橙里が心の中で呟くと、矢本と瀬島が二人でやって来た。 「あ……ももちゃん」 「どーも。体調平気っすか?」 心做しか、瀬島の元気がないような気がする。対して矢本がいつもより目が開いているように見えた。 しきりに瀬島が首を摩り、なにかを隠しているような仕草をした。 「……ももちゃん」 「なに?」 「大きめの絆創膏ある?」 「あるよ。持ってこようか?」 「あー……ついて行くね」 ふと矢本を見ると、橙里のことをニヤニヤしながら見ていた。その顔は悪いことを企んでいそうな顔で、思わず目を眇めてしまう。

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