335 / 527
[18]-9
いつか、ぽろっと好きだと言ってしまうかもしれない。でも、それだけはしてはいけない。稜の気持ちがわかるまでは。
それに、別に好きだと言わなくてもいいと思う。今のままでも十分幸せだし、稜の近くにいられるならそれだけでいい。
それなのに、今の関係では満足出来ない自分がいる。
あの声で好きだと囁かれたい。あの目で見つめて欲しい。あの手で触れて欲しい。稜の大きい雄で────奥を突いて欲しい。
淫らな欲求が心を満たして止まらない。溢れかえって我慢出来なくなる時がいつか絶対に来るだろう。
「……稜……」
消え入るような声で呟き、顔を上に向けると戸園の整った顔が視界に入った。
「っあ……蒼樹!?」
「こんにちわ。どないしたんです?」
「……ちょっと」
「僕今から休憩入るんです。一緒にご飯た食べませんか?」
その提案に、橙里は頷いた。
ともだちにシェアしよう!