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今の時間帯は予約が全くないし、幹も許可してくれるだろうから近くにあったカット用の椅子に座った。
矢本は戸惑っていたようだが、すぐにタオルを橙里の首に巻き付けてきた。
「あんまり強く締めすぎんなよ。人によっては苦しいと思う人もいるからな。緩くしろよ」
「これくらい?」
「そう」
ほよどい苦しさで、矢本が橙里のことをてるてる坊主状態にしたところで休憩から戻ってきた二人がやって来た。
瀬島と戸園だ。
「……あれ、ももちゃん?」
「樹くんもおるんですね」
二人が並ぶとドラマかなにかのワンシーンに見える。それほどに二人は顔が整っていてスタイルがいい。
橙里の状態を見て髪を切るということに気付いたらしく、興味津々といった様子で見守ろうとした。
「見んな、恥ずい」
「えーやだ。ももちゃんがかわいくなる瞬間を見てたい」
「切ったらさっぱりしてもっとべっぴんさんになりますね」
「丁度よかった。アドバイスちょうだい」
こうして、橙里の散髪が始まった。
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