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それは、高校一年生のときのこと。きっと、時期は夏が終わり葉が紅く色付いてきた頃だったと思う。 当然稜とは仲が良くて、クラスも同じだった為よく二人で行動していた。 二人とも顔が整っているから所謂ゲイとして認識されることは一切なく、普通に仲がいい二人としてクラスに馴染んでいた。 いつものように教室で二人で弁当を食べていると、ふと女子たちの会話が耳に入ってきた。 『このクラスにホモがいる』 その言葉だけがはっきりと聞こえてきて、思わず口を閉じて稜も橙里のことを見つめてきた。 もしかしたら自分たちのことじゃないか。 そう思い二人で会話をやめ、その女子たちの会話を聞こうと必死に聞き耳を立てているとそのグループのうちの一人が言った。 『あ、ほら。入ってきた』

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