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ついその声に反応して、二人で同じタイミングで扉の方を見た。
すると入ってきたのはメガネをしたふくよかな根暗な印象の男子で、まだ一度も話したことがないクラスメイトだった。
言われてみるとそんな感じがして、確かにそう見えてしまう。
稜も興味があるようにして観察していたので、そのグループの女子に訊いてみることにした。
『ねえ。今の話聞こえちゃったんだけど……どういうこと?』
『百川くん? えっとね……わたしの彼氏から聞いた話なんだけど、彼氏の友達があの子に告られたんだって』
『え』
『しかも、中学生のときクラスメイトの上履きを持ち帰ったんだとか』
『……それ、本当?』
稜が反応した。そのことに女子はとにかく驚いていたが、なんとか平静を装ってその質問に答えていた。
『う、うん。その学校って設備結構しっかりしてたらしくて、防犯カメラにあの子が盗む様子が映ってたんだって』
『……』
質問に答えたのにも関わらず無視をする稜に女子は戸惑っているようだったが、橙里はもう慣れっこなので代わりに愛想笑いをして応じた。
少しくらい愛想よくしろとこの頃から思っていた気がする。
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