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稜は大丈夫なのかと、不安になり稜の名を呼ぶ。男子にもその声は聞こえたらしく、荒い息遣いが聞こえてきた。 『……ん』 稜が今までにないほどに優しい手つきで頭を撫でてきた。擽ったいような、不思議な気持ちになり恥ずかしくなる。 顔を隠すように下を向こうとすると、それを逆手に取られて更に抱き寄せられてしまった。 『別に言っても構わない。おまえが言ったところで信憑性の欠片もねえからな』 『……なっ……!』 『それより』 橙里の頭を掴んで無理やり上に向けさせた。稜の顔が目前に迫る。 『今いいところなんだ。邪魔するなんて……』 悪い子だ。 稜が男子に聞こえるか聞こえないか微妙な声量で言った。横目で男子の顔を確認するとその顔が紅く染まっていた。 すると男子がすぐに教室から飛び出していき、そのタイミングで橙里は稜から離れた。 はーはー、そう荒く呼吸をする。胸を喘がせながら稜のことを睨みつけると、稜が何故か不機嫌な顔になった。 『……んだよ。協力してやったのに』 『っあそこまでやらなくても……! ちょっと牽制するだけでよかったのに』 耳が熱い。耳を挟むように指で触ると、稜がふっと笑った。夕焼けがその顔を照らす。 『俺に守られるのも悪くはないだろう?』

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