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年齢が違うのでもう少し羽村に気を使ってやって欲しい。なんせ、もう羽村は三十六になる。 「……あれ? もう羽村さんって三十六?」 「……そうかもしれへんです」 「えーもうちょっと気遣ってあげてよー。蒼樹も来月で三十でしょ?」 「そうですけど……体力には自信があって」 うちの美容室にいる美容師には早生まれが多い。唯一幹だけが八月生まれなのだが。でも、矢本は五月だったか。 若いのはいいことだが、もう少し気遣いというものを大切にして欲しい。 「しっかし稜さんはかっこいいですね。あれで三十三なんやろ?」 「うん。明後日三十四になるけどな」 「へーえ。一日違いなんやな」 蒼樹は酒が入ると敬語ではなくなる。そこが新鮮でまた接しやすい。 人懐っこい性格もあって、酒が入った状態の蒼樹と話すのは意外と楽しいのだ。 「ねーももさん」 「うん?」 「また関西弁て喋ってくれません? 聞きたい」 「いや……流石にもう無理だわ」 「えー、お願い」

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