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その言葉に更に混乱する。自分でも鈍感だとは思うが、ここまで鈍いとさすがに呆れられるだろうか。
「……百川さんって頭いいと思ってたけど、案外馬鹿だね」
「ああ? 一応名門校出てんだぞ。大学は専門学校だけど」
「いや、そういう馬鹿じゃなくて。頭脳的な問題じゃないっていうか」
頭脳的な問題ではない? それの意味すらもわからない。
頭を抱えていると、頼んでいた料理が届いた。机が皿で埋め尽くされる。
「いただきます」
いつもの癖で、手を合わせてそう言うと何故か四人がきょとんとする。手を合わせたままの状態で顔をきょろきょろさせると幹が言った。
「ももちゃんかわいいわあ! 子どもみたあい!」
「……は?」
「三十路にもなってそういうことするんだな、と」
「は? 喧嘩売ってんのか? 売られたものは全部買うけど」
矢本の挑発するような言葉にそう反応すると、戸園が苦笑した。
「うーん、そういう意味ではあらへんと思いますよ。大体歳重ねるといただきますとか言わないじゃないですか。だから、ももさんがそういうことするんやって思ったんやと」
「あー……なるほど。いつもしてっからなあ」
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