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幹ならやりかねなくて、ついゾッとする。今更だが、幹は橙里のことをどう思っているのだろうか。
「……ねえ幹さん」
「なあに?」
「幹さんって僕のこと好きなの?」
「ぶぐっ!」
橙里の言葉に矢本と瀬島が噎せた。戸園はただただ目を見開き、心底驚いているという様子だ。
幹は少し驚いたように手を止め、橙里のことを見つめてくる。一体幹がどう思っているのか、知りたい。
すると幹が咳払いをして話し始めた。
「まあ、好きよ。でも恋愛って意味じゃなくて、どちらかというと仲間としての好きかしら?」
「……そうなの? それだったら羽村さんとかにもちょっかいかけていいんじゃ……」
「うーん、まあ桐野ちゃんもかわいいけどねえ。あたし、ももちゃんが心配なのよねえ」
「……心配?」
どうしてだろうか。
橙里だけ心配する理由がわからない。でも、幹が真剣に話していることだけはわかった。いくら鈍感と言ってもそれくらいはわかる。
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