383 / 527
[20]-15
「……ま、一番いいのはももちゃんにパートナーが出来ることね。そしたらアタシが纏わりつく必要もないわ。既にアタシには相手がいるし。そっちに集中出来るものね」
「え、いんの!?」
「いるわよお! 一個年下なのだけれど、少し鍛えられた身体がいいのよねえ!」
「……」
男かよ。
矢本と心の声が被った気がした。
「あら、話が脱線しちゃったわ。結局言いたいのは、ももちゃんに恋人が出来て欲しいってことね。アタシがももちゃんのことを色々言ってたのは、まあ大して意味はないわ」
「意味ないんかい」
「アタシとしては稜くん辺りがいいと思うのだけれど。どお?」
急に稜の名前を出されて、橙里は顔を伏せる。赤くなった顔を隠すためだ。
どう、と言われても。答えは一択しかない。
──僕は、稜と恋人同士になりたい。
すると、携帯が振動する。誰かからのメッセージだろうかと思っていると、稜からだった。
そこには。
『髪切ったの似合ってる』
とだけあり、橙里は更に赤面した。
ともだちにシェアしよう!