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「はい、終わり。お疲れ様でした」
タオルを取り、女性の髪を整える。元がいいので髪を切って巻くと更に華やかさが増した。
椅子を回し、立ちやすいように誘導する。女性が慣れたように立ち上がり、服を整えた。
「ありがとー。そういえば……あの男の人って、新人?」
「ん? ……ああ」
女性が指さしたのは店内の掃除をする矢本だった。
矢本はこっちに気付くことなく黙々と掃除をしている。まあ、男前ではある。
「そうだね」
「かっこいい人ー……ね、次来るときあの人にお願いしてみてもいいかな?」
「……へ」
驚いた。
まさか矢本に切って欲しいとは意外だ。でも、矢本にとっていい経験になるだろうし、橙里は微笑んでから言った。
「もちろん。気に入らなかったら僕に戻ってきてもいいからね?」
「あははっ、うん!」
女性の会計を済ませ、頭を下げる。
頭を上げると、すぐ隣に矢本が立っていた。
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