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「……ちっ!」 男性客が盛大な舌打ちをして出て行った。それを見送ってから四人で安堵の息を吐く。 「……羽村さん、大丈夫?」 「うん、大丈夫だよ。さすがにこの歳になると色々割り切るしね」 ももちゃんもしょっちゅうこういう目に合ってるんだもんね。 と付け足し羽村が微笑んだ。それにつられて橙里も微笑むと戸園が羽村の腕を掴んだ。 「……すんません」 そう言い残し、戸園が無理やり羽村のことを連れて行った。行き先はきっと休憩室か資料室だろう。 矢本と目を合わせる。同じタイミングで肩を竦めた。 羽村は戸園に愛され過ぎている。

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