391 / 527
[21]-8
「……ちっ!」
男性客が盛大な舌打ちをして出て行った。それを見送ってから四人で安堵の息を吐く。
「……羽村さん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。さすがにこの歳になると色々割り切るしね」
ももちゃんもしょっちゅうこういう目に合ってるんだもんね。
と付け足し羽村が微笑んだ。それにつられて橙里も微笑むと戸園が羽村の腕を掴んだ。
「……すんません」
そう言い残し、戸園が無理やり羽村のことを連れて行った。行き先はきっと休憩室か資料室だろう。
矢本と目を合わせる。同じタイミングで肩を竦めた。
羽村は戸園に愛され過ぎている。
ともだちにシェアしよう!