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二人から貰った袋と、常連客から貰ったいくつかのものを持ってバッグを取りに行く。
持ちきれるかな、と迷っていると戸園がかなり大きい袋を持ってきた。
「はい、いっぱいあるから大変でしょ? 良かったら使ってください」
「さんきゅ」
「あと俺からです。大したもんじゃないんやけど」
「俺からもー。おめでとう」
今日はおめでとうばかりだ。それ自体すごく嬉しいのだが、言われ過ぎて少し疲れた。
母からのおめでとうコールで始まり、父からの電話に立て続けで康と尋からの電話。大学の友人からのメールに、職場仲間からの言葉。
嬉しいばかりだが、稜からは言ってもらっていない。
まあ、プレゼントを貰うときにでも言ってくれるか。
「百川さん」
「うん?」
「おめでとう。みんなのに比べたらしょぼいけど」
「いや、貰えるだけで嬉しいよ。ありがとう」
まさか矢本が覚えているとは思っていなくて、つい面食らってしまう。それでも用意してくれただけで嬉しい。
誕生日が人生で一番好きな日かもしれない。
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