393 / 527

[21]-10

二人から貰った袋と、常連客から貰ったいくつかのものを持ってバッグを取りに行く。 持ちきれるかな、と迷っていると戸園がかなり大きい袋を持ってきた。 「はい、いっぱいあるから大変でしょ? 良かったら使ってください」 「さんきゅ」 「あと俺からです。大したもんじゃないんやけど」 「俺からもー。おめでとう」 今日はおめでとうばかりだ。それ自体すごく嬉しいのだが、言われ過ぎて少し疲れた。 母からのおめでとうコールで始まり、父からの電話に立て続けで康と尋からの電話。大学の友人からのメールに、職場仲間からの言葉。 嬉しいばかりだが、稜からは言ってもらっていない。 まあ、プレゼントを貰うときにでも言ってくれるか。 「百川さん」 「うん?」 「おめでとう。みんなのに比べたらしょぼいけど」 「いや、貰えるだけで嬉しいよ。ありがとう」 まさか矢本が覚えているとは思っていなくて、つい面食らってしまう。それでも用意してくれただけで嬉しい。 誕生日が人生で一番好きな日かもしれない。

ともだちにシェアしよう!