396 / 527
[21]-13
「……まさか、連行される?」
「馬鹿。しねえよ」
「じゃあどこ行くんだよー」
「ん、おまえと行きたかったところ」
橙里と行きたかったところ。その響きがなんだか特別なもののように感じて、つい顔が緩んでしまう。
車を稜が発進させ、独特の感覚に襲われたところで何故か急に眠気がやってきた。
「やっば、眠い」
「少し時間かかるからな。寝ててもいい」
「うーん、着きそうになったら教えて」
「ん、おやすみ」
稜が頭を撫でてくれた。その手つきが気持ちよくて、あっという間に眠りについてしまった。
この先、なにがあるのかも知らずに。
*****
ともだちにシェアしよう!