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「……起きろ。もうすぐ着く」 「んあ?」 稜の声で目が覚めた。疲れていたのですぐ寝ることが出来、それなりに疲れが取れた気がする。 右を見ると稜が運転していて、その姿が男前で思わず目を逸らしてしまう。やや筋が入った手首がさらにそれっぽくしている。 外を見てみると真っ暗になっていて、わずかな光でさえ煌めいていた。 「まだ都内?」 「一応。海沿いにはなるがな」 「ふーん。こんなとこあったんだね」 しばらく直進し、少し右に曲がったところで駐車場に出た。 そこはあまり車が止まっていなくて、無料の駐車場だった。 「……車なくない?」 「まあ、結構遅いしな。ほら、降りろ」 「うん」 言われた通りシートベルトを外し、ロックが解除されているのを確認してからまたドアを開けた。 外に出た瞬間、突き刺すような外気が頬を撫でた。目を瞑ると、強い風が音を立てて吹いてくる。どれだけ寒いのかがよくわかった。

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