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「……そろそろ言ってもいいかと思った」
「そうなの? で、なんで?」
「おまえは相変わらずだな……」
稜が微笑した。その顔はいつもとなにかが違う気がして、胸がどくんと鳴る。
そのまま歩き、階段を登っていくとかなり高いところに来たようで、都内の様子が一望できた。
暗い空に無数の星が散っているようで、かなり綺麗だった。東京でもこんなに綺麗な夜景を望むことが出来るのかと感動していると、稜が隣にやって来る。柵に腕を乗せ、夜景を見ているようだった。
特に会話もなく、稜から話し出すのを待っていると稜がふーと息を吐く。
「……稜?」
「おまえの場合、遠回しに言っても伝わんねえから直入に言う」
「……なにを?」
稜の袖を掴んだままの橙里の手を、稜が捉えた。そのまま橙里をぐいっと引き寄せ、下半身がぴったりくっつくくらいに近付く。
端正な顔が至近距離にあるところで、そのまま稜が告げる。
「……橙里」
「……っ」
「おまえが好きだ」
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