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「橙里……」
稜が橙里の頭を撫で、更に強く抱き寄せた。稜の匂いがする。
想いがやっと通じ合った。
『好き』
この二文字だけでこんなにも幸福な気分になれる。それはお互いの関係を大きく変えてしまう言葉。
なのに言うのはかなり困難で、何故か慄いてしまう。
その理由は単純で、その言葉の意味の大きさを知っているから。
でも、言ってしまえばこんなにたくさんの幸せを味わえる。それを今日、身を持って知った。
──好き……この人のことが……
稜の腕の力が緩む。それを合図に、橙里と稜はぶつかるように口付けを交わした。
赤い舌が扇情的に絡み合う。
そのキスは、今までにしたものとは比べものにならないくらいに深く深く、長いキスだった。
まるで、二人の未来を約束するように────。
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