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「……えっと……稜さん」 「なんだ」 「さすがに飛ばし過ぎじゃないですかね……?」 現在、車内にいるのだが。 法定速度を絶対に破っているであろう速度で車を走らせていた。 最早軽くアトラクションだ。 「速いってー……怖っ」 「絶対事故らねえから。手ぇ握ってて」 「……ぅ」 空いている左手をきゅっと握る。想いが通じあった今では、手を握ることが全く億劫ではない。 案外大きい手に、少しドキドキしてしまう。 ていうか、この流れは。 ──絶対に、抱かれる…… 今までは抱かれたくてどうしようもなかったのに、これから抱かれるとなると不安でしょうがなくなる。 「うー……」 緊張する。

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