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「ワインも熟成させた方が美味くなる。おまえも、明日になったら更に善がるんだろうな?」
「……なっ……」
──よ、善がるって……
稜のキャラが崩壊しているような気がするのは気の所為か?
いや、それより。
「僕はワインかっ!」
「そうとは言ってねえだろ。ワインよりおまえの方が好きだしな」
「ぅぐ……」
「それより、こっち来い」
「な、なに……」
さりげなく殺し文句を言っておいて、それをさらっと流して腕を引かれる。
連れてこられたのはリビングで、ソファに座っていると稜が高級そうな紙袋を渡してきた。
「……ほら」
「……あ」
「誕生日おめでとう」
やっと、言って貰えた。
嬉しさで視界がじわりと滲む。不意にこんなサプライズが待っていたものだから、つい嬉しくて破顔した。
「ありがとう……」
誰よりも先に稜の紙袋の中身を見る。すると、個包装されたワインのようなものと小さい箱が入っていた。
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