409 / 527

[21]-26

「ワインとか……洒落てんなあ」 「見て欲しいのそこじゃねえんだけど」 「え」 じゃあなにかと、言うまでもない。中に入っている小さい箱だろう。しかしそれはプレゼントにはありふれた形をしていて。 「……ねえ、これって……」 「貸して」 稜に小箱を手渡すと、稜が慎重な手つきでその箱をゆっくりと開けた。 それは、ある代物にしか使わない開封の仕方で。 「手、出せ」 「……ん」 右手を出す。手の甲を上にすると、稜が薬指に手を添えて指輪を嵌めてきた。 シルバーに美しく煌めき、ほんのり橙色に染まっている。 「すご……綺麗……」 「特注だからな。特別に橙色のグラデーションにして貰った」 「なんで橙色?」 「名前。橙里だろ」 「……あ……!」 本当に、よくそういう発想が浮かぶなと思う。しかも指輪が入っていた箱も渋めな橙色だ。 箱には筆記体で橙里の名が金色で刻印されている。 「指輪の内側にも刻印あるから」 「……すげ」

ともだちにシェアしよう!