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「ワインとか……洒落てんなあ」
「見て欲しいのそこじゃねえんだけど」
「え」
じゃあなにかと、言うまでもない。中に入っている小さい箱だろう。しかしそれはプレゼントにはありふれた形をしていて。
「……ねえ、これって……」
「貸して」
稜に小箱を手渡すと、稜が慎重な手つきでその箱をゆっくりと開けた。
それは、ある代物にしか使わない開封の仕方で。
「手、出せ」
「……ん」
右手を出す。手の甲を上にすると、稜が薬指に手を添えて指輪を嵌めてきた。
シルバーに美しく煌めき、ほんのり橙色に染まっている。
「すご……綺麗……」
「特注だからな。特別に橙色のグラデーションにして貰った」
「なんで橙色?」
「名前。橙里だろ」
「……あ……!」
本当に、よくそういう発想が浮かぶなと思う。しかも指輪が入っていた箱も渋めな橙色だ。
箱には筆記体で橙里の名が金色で刻印されている。
「指輪の内側にも刻印あるから」
「……すげ」
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