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「うん……ごめんね、ももちゃん。賭け事に巻き込んじゃって。でも、樹がどうしてもしつこくてさ」
「しつこいって……酷いなあ」
矢本が苦笑した。だがその自覚はあるようで、うなじをしきりに触っていた。
まあ、別れるかどうかで賭けられていたわけではないので腹立ったりはしない。
「……ま、お幸せに?」
「ももちゃん!?」
ニヤニヤしながらそう言うと、瀬島が顔を少しだけ赤くさせた。
そのまま準備をしようと思い、歩こうとすると矢本に腕を掴まれる。
「……うん?」
「ねえ、昨日盛り上がった?」
「盛り上がったって……なにが?」
「見てないの? 俺からのプレゼント」
「……昨日はワイン飲んでベロベロになったからな……」
「そうなんだ。まあ、使っても使わなくてもいいけど、使った方が楽しいかもよ?」
「……なにを入れた?」
「ああ、健全な店で買った精力剤」
「せっ……!?」
「百川さんが飲んでもいいし、飲ませてもいいかもね」
精力剤は確か詳しくは知らないが元気になる薬、らしい。
ただでさえ体力が有り余っている稜なのに、そんなものを飲ませてしまったら。
──腰が終わるだろうな……
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