416 / 527

[22]-5

標準語の幹は知りたくなかった。いや、橙里が聞かなければよかった話なのだが、聞こえるところで電話していた幹も悪い。 「……幹さん」 「なあに?」 「キャラを固定させるならどこでもオネエでいてくれ……」 「えっ、嘘!? 聞こえてたのお?」 「うん。てか……僕、稜と付き合うことになったよ……」 「えええっ!?」 「うっせ」 幹の声は耳と頭に来る。その為、至近距離で聞くとかなり辛い。 とりあえず、次に報告するべきなのは羽村と戸園だ。本当は一番最初に言うべきなのだが、こればっかりはしょうがない。 幹をなんとか宥め、休憩室に向かう。あの二人は、営業時間外によく休憩室にいるのだ。 その橙里の読み通り、二人がテレビを見ながらゆっくりしていた。 「あ、ももちゃん」 「おはよ」 「おはよーございます。どうかしはったんですか?」 二人に近寄り、ソファに座る。 息を吐いてから二人を交互に見て告げた。

ともだちにシェアしよう!