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標準語の幹は知りたくなかった。いや、橙里が聞かなければよかった話なのだが、聞こえるところで電話していた幹も悪い。
「……幹さん」
「なあに?」
「キャラを固定させるならどこでもオネエでいてくれ……」
「えっ、嘘!? 聞こえてたのお?」
「うん。てか……僕、稜と付き合うことになったよ……」
「えええっ!?」
「うっせ」
幹の声は耳と頭に来る。その為、至近距離で聞くとかなり辛い。
とりあえず、次に報告するべきなのは羽村と戸園だ。本当は一番最初に言うべきなのだが、こればっかりはしょうがない。
幹をなんとか宥め、休憩室に向かう。あの二人は、営業時間外によく休憩室にいるのだ。
その橙里の読み通り、二人がテレビを見ながらゆっくりしていた。
「あ、ももちゃん」
「おはよ」
「おはよーございます。どうかしはったんですか?」
二人に近寄り、ソファに座る。
息を吐いてから二人を交互に見て告げた。
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