418 / 527
[22]-7
「……えっと、可哀想ってなにが?」
「ずっと好きやったって言われたんですよね? だったら、ずっと抱きたかったと思いますよ? 稜さんも」
「……ええっ!?」
「嘘ぉ……ももちゃん激ニブじゃん」
衝撃だ。
稜がずっと自分のことを抱きたがっていた? そうだとしたら何故抱かないのだろうか。
すると、そんな橙里の疑問の答えを戸園が言ってくれた。
「まあ、無理やり抱いて嫌われたくなかったんちゃいますかね。前にも言うたと思いますけど、大事にしてるからこそ抱かないんやと思いますよ。あとはまあ、今まででやっと繋いできた関係を壊したくないとかやないですか?」
「……ほお……」
「それはあるかも。俺だって、好きな女の子のこと無理やり抱こうなんて思わないし」
「……女の子……」
戸園が軽くショックを受けているのはさておき。やっぱりそうなのかなあと思ってしまう。
橙里には大事にしたいという気持ちがいまいちよくわからない。でも、嫌われたくないというのは痛いくらいわかる。
稜に嫌われるくらいなら、死んだ方がましだ。
「……だって、好きだし」
ともだちにシェアしよう!

