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[23]-20
「もっと聞かせて」
「んぁっ……! ふ、ぁ……すき……!」
「もっと」
「はう……すっ、好きっ」
「まだ……足りない」
「……も、はずかし……!」
「三十四年分」
稜が息をやや荒らげながら、律動させながら言葉を切る。
「百回聞いても……足りないから」
「ふ、ぁあっ……んっ、あうっ、んぅっ!」
「死ぬほど……俺が聞き飽きて、おまえも言い飽きるくらい」
「は、あ……ふ、あんっ、はぁっ!」
「好きって……聞かせて……橙里」
大好きな声で、自分の名前が紡がれる。
生理的な涙じゃなく、嬉しくて涙が出てしまった。
何回だって言える。それでも稜に伝わらないなら一生言う。
稜のことが……大好きだから。
「……橙里」
「な、に……?」
「こういう時じゃないと言えねえから……一回しか言わねえけど」
そう稜が前置きする。そして、紡ぐ。
「愛してる」
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