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少し真面目に答え過ぎただろうかと不安になり瀬島の顔を見ると、橙里の答えは予想の範疇だったらしくうんうんと頷いていた。
「オレもそんな感じかな。基本的に信じないし存在すら認めたくない」
「……」
「……でもさ……樹がこの美容室に来た瞬間、何故かどくんって来たんだよね。この子は、オレとはなにかが決定的に違うって」
「……」
「だから……つい神様に願っちゃった。樹がオレのなにかを変える存在でありますようにって」
まあ、その先の言葉は聞くまでもない。実際に矢本は瀬島のことを大きく変えたのだから。
「よく婆ちゃんとかから聞くよね。悪いことが起きてもその先には必ずいいことが待ってるって」
「うん」
「本当……その通りなんだなあって思ったよ。だから、最近では落ち込むことがあっても頑張れるんだよね」
「……わかる。なんか……期待しちゃう」
最近、こういう重い話をしたことがなかった。歳を重ねるということはその分病気にかかるリスクが大きくなっていくということなのだから。
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