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稜さんの憂鬱4
橙里がコーヒーを啜る。橙里はブラックよりもミルクが入った方が好きなのだ。
「ふー……てか、これ開けんのも時間かかるんだな」
「当たり前だろ。まあ、恵まれてる証拠だな」
「うんっ」
橙里が次々と開けていく。一つ一つのものにしっかり反応していて、本当に嬉しいんだな、というのが見ている稜にすら伝わってくる。
情報番組を見ていると、橙里が急に「あっ」と声を出した。
「ん?」
「あー……なんでもない……」
「なにが」
「っちょ!?」
橙里の手から瓶を取る。なんとなく想像はつくが、本当にそうかと確かめてみるとやはりそうで。
──随分といいものを渡すんだな。
ラベルには大きく精力剤と書いてある。使用したことがないと言えば嘘になるが、その威力は凄まじいもので。
「ぁう……忘れてたぁ……」
「は?」
「後輩から……渡されたんだよそれ……もお、見せるつもりじゃなかったのに……」
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