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稜さんの憂鬱8
──はあ、かわいい。こんなにかわいいならもっと早く手に入れていればよかった。
元々他人には一切興味がなかったのに、橙里だけは気になる存在になった。
稜よりずっと人間味に溢れていて、一つ一つの言動が本当にかわいらしい。
一番好きなのはこの顔なのだが。
「んっ……は、ああっ……」
当然、橙里も稜の顔のことが好きなのは知っている。気づいたら橙里が稜の顔を見ていることが多く、目が合うことが格段に多くなった。
ていうか、腰を振っている。
いつもはこんなことしないのに、と思うと不思議と笑みが零れてしまう。
キスをしようとすると何故か避けられ、首を傾げると段々橙里の頭が下に下がっていった。
この流れは。
橙里が稜の反応した屹立に顔を近づけ、すんすんと鼻を動かしてからぱくっと咥えた。
「っく……」
快感によって声が漏れたのではない。かわいすぎて愛らしすぎて、つい声が盛れてしまったのだ。
橙里から舐めることなんて普段はありえないのに、なにか気分が高揚すると舐めぐせでもあるのだろうか。
前に酔ったときは舐めろと言われたが、今度は橙里が舐める番か。
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