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稜さんの憂鬱13

「ひぅ……はぁっ、あっ」 「……、ん」 そろそろ効果が切れてきたようだ。即効性とはいえ効果はそこまで続かないらしい。 もうあの声は聞けないのか、と思って少しだけ力を弱めると身体が熱くなってくる。 ──これは。 橙里は気が緩んだのかため息を吐いた。だが、橙里の中にいる稜の異変に気づいたのか目を見開き動きを止めた。 「……稜、さん?」 「個人差があるからな。俺、今効いてきた」 自身のくちびるを舐める。 この感覚、身体が若返ったように滾ってきた。 「さあ、まだ終わんねえからな」 「ひいっ……─────!」 この翌日、橙里が勤務する美容室に高級ワインを差し出したのは当然の話。

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