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甘い休暇2
「……ね、行こ?」
もし聞いてくれなかったそのときは強行手段を使うしかないな……
そのときはどうしようか、というのを散々考えていると稜が口を開いた。
「……今週末でいいか?」
「へっ」
「俺が探しとく。たまにはサービスしねえとな」
稜が橙里の方を見てにやっと笑った。その顔に心臓が大きく跳ねる。
見慣れているはずなのに、やっぱりかっこいい。
橙里もそんな稜の顔につられるように笑う。
「ありがとー」
稜と出かけられるということが嬉しくて、子どもみたいに喜んだ。そんな橙里を、稜は優しい笑みで見つめている。
……のだが、急に獣じみた顔になり、橙里のことを軽々持ち上げて寝室の方へ向かう。
「……温泉もいいけど、抱かせて」
「えっ」
「一週間してない。死ぬ。俺が。爆発する」
「待っ、やだやだ。シャワー浴びてな……ぁぁぁあ……!」
*****
「ももさん、おはようございます」
「蒼樹おはよ。羽村さんどうした?」
「あー……えっと、今日は休みたいって言ってたので」
羽村が来ていない理由を訊ねただけで、戸園がしどろもどろになった。
……これだけでその理由がわかってしまう自分が嫌だ。
万年発情期なのか、戸園は。
「……おまえ、勘弁してやれって。羽村さんも歳なんだから……」
「む……ももさんは、抱く側になったことがあらへんからそう言えるんですよ。かわええんですよ? 喘ぐ桐野さ……」
「言うな。それ以上言ったら絞める」
想像したくない。
特に羽村のそんなところは絶対知りたくない。橙里の中の羽村はそんないやらしいものではないから。
戸園のやりたいという気持ちを否定するわけではない。
ただ、限度があるというか、気遣いが大事というか。
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