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甘い休暇3
「てか、ももさんは抱かれる側ですか?」
「……蒼樹って、ズカズカそういうの訊いてくるよな……」
「どっち?」
「抱かれる側、だけど」
というか、そもそも稜を抱こうと考えたことがない。
抱けるはずがない。あの堅物を。
稜が喘いでるところを想像しただけで鳥肌が立つ。
逆に世の中の男全員に訊きたいくらいだ。このイケメンを抱けるのかと。
……いや、幹は抱きそうだな。
幹と稜が絡み合うなんて、鳥肌レベルの話ではない。吐き気がする。
「一回稜さんのこと抱いてみたら、抱く側の気持ちがわかるんとちゃいます?」
「……抱けると思うか? あれを。そもそも、これでも抱いたことはあるし」
「それは女性やろ? 女性と男性やと全然ちゃいますよ」
……戸園に正論を言われてしまった。
確かに身体の造りから声から見た目から違うが、それでも男を抱くということはしたくないものだ。
生々しい。
「じゃあ、おまえは抱かれる側の気持ちになったことあるか? 激しくやった次の日まじで辛いんだぞ」
「……いや、俺はそういうのあかんので。そもそも、抱かれる側になる前に俺を抱こうとするやつをぶちのめ……ゲフン、成敗しますけどね」
「おまえ今ぶちのめすって言おうとしただろ」
橙里の指摘に、まさか、と言いながら笑う戸園の顔には明らかにどす黒さが隠れている。
こっそりと、バレない程度にため息を吐く。
戸園は優しい男に見えて、実はかなり変態らしい。(羽村情報)
まあ、そんな感じがする。
玩具かなり使いそう。手錠とか使ってそう。媚薬とか使いそう。
「……とにかく。こっちもこっちで色々あるんです」
「ふうん。抱く側の気持ちなんか知ったこっちゃねえけど」
知りたくもない。というか、知りたくなかった。
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