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甘い休暇5
「なんか、意外やな。瀬島さんってもっとさっぱりしたエッチするんやと思ってた」
「だろ? けっこーねちっこいんだよ……ここだけの秘密な」
「なんか卑猥やなー」
「頼む……やめろぉ」
今、朝。
やめよう。
ここで幹さんが乱入してきたらもうカオスでしかない……
「あらあ! なんだかエッチな話してる予感!」
「来るなー!」
「いったいわね! もー……お仕置きっ!」
「ひえー!」
雑巾を乱暴に投げつけるもあっさりキャッチされて、お仕置きとして腰あたりでがっと持ち上げられ、肩に担がれた。
くそ、無駄に長身で落とさないってわかってるのに怖いぞ。
反抗したら落とされる、反抗したら落とされる……
「おい橙里、おまえ俺のバッグの中にハンカチ忘れ……て……」
「あ」
「やば」
「うわ」
上から橙里、戸園、矢本だ。幹はすっかり硬直している。
なぜなら急にアポなしで稜が美容室の中に入ってきたからだ。
……終わった。
橙里の頭の中で木枯らしの音が流れ始める。
こうなったときの稜はかなり怖い。怖いというか、恐ろしい。まとっている空気が急に冷たいものになる。
幹が橙里のことを担いだままという異様な光景の中、沈黙を破ったのは低く厚みを持った恐ろしい声。
「……橙里、家帰ったら『おしおき』な」
「ひ、ひぇ……」
恐らく、そこまで怒ってはいない。
けど稜からの『おしおき』はやばいものだ。経験がそう告げる。
やべえ……これ、やべえ。
同じ言葉なのに、幹と稜とではこんなに重みが違うとは知らなかった。
稜が出ていってから、幹が橙里のことを下ろした。そして。
「……てへっ」
「ふっざけんなぁあああ!」
「もっ、ももさん! どうどう!」
「うるせええ! 僕はどうなるんだよー! 明日立てなくなるー! ただでさえ立つのがきついのに!」
「橙里さんっ、荒ぶるな!」
「幹さん、頼む。頼むから一発デコピンさせてくれ。そうじゃなきゃ気がすまないんだ! デコだせデコー!」
「やだわあ! ももちゃんの指の力半端ないもの! 嫌よ!」
「るっせぇぇえ! 稜のセックスほんとに最近○○が激しくて○○が○○なのに○○だったらやばいんだよー!」
「ちょ、コンプラ的にやばい言葉言わないで……」
「……橙里さん」
「なんだよっ」
「……ドンマイ!」
「…………よし決めた、おい、樹デコ出せ」
「は? ちょ、おい幹さん押さえつけんな……」
「さーん、にーい、いーち、そりゃあ!」
「いっぁぁぁあぁぁ!」
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