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甘い休暇11
溜まった唾液を吸われて、下くちびるを甘噛みされる。
「ふ、ぁ……あ」
溶けてしまいそうに、優しく、甘く。
橙里が立てなくならないように加減してくれているのも知っているし、苦しくならないように稜も橙里の方に顔を預けてくれているのも、知っている。
好きだ。大好き。
稜は橙里の好意を受け入れ、甘美な快感をくれる。
本当に、いい男を好きになってしまったようだ。
「ん……はぁっ」
「着替えるか。続きは、また夜にでも」
くちびるがようやく離れ、稜も橙里からすっと離れていった。
これも、橙里のことを気遣ってくれている。橙里が事後の顔をなるべく見られたくないというのを知って、稜が見ないようにしてくれているのだ。
稜が着物が置いてあるところへ消えていった。
橙里はその場にしゃがみこみ、両手で鼻と口を覆う。まだ夕方にすらなってないのに……どうしてこんなに、そういう気分になってしまうのだろうか。
「……発情期なのか?」
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