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甘い休暇13

 橙里は身体を動かし、稜の上に跨った。  まるで橙里の誘うような行動に、稜がやや目を瞠る。橙里は滅多に自分からは誘わないため、驚くのも無理はないだろう。  稜に言われて、寝そべっている稜の上で動くことはある。  だけど、する側に回って稜のことを見下ろすのも新鮮だ。 「橙里」  稜が自分の名前を呼んだそのくちびるに、自身のくちびるをくっつけた。  いつもなら稜が先導するように舌を動かすのだが、橙里が稜の口の中で舌を動かす。  稜も最初は戸惑っていたものの、橙里の思惑に気づいたのか、それともされるがままになってみようと思ったのか、橙里のキスを受け入れてくれた。  やっぱり、稜はキスが上手いから受け側に回っても上手い。  ……だけど、それじゃだめなんだ。  稜がいつもするようなことばかりしたら、その内主導権を奪われてしまう。  たまには橙里だって男なのだから主導権がほしい。  稜の顔を両手で包み、稜の舌を誘い出して舌を噛んでやった。 「っ……」  稜が驚いたような声を出す。  そのまま稜の舌を橙里の舌で蹂躙し、稜が油断しきったタイミングで橙里の口の中にある大量の唾液を無理やり押し込んでみた。 「はっ……ん……」  珍しく稜が声を出した。声、と言っても喘ぎには程遠いものだが、それでも嬉しかった。  もっと、僕を感じて。  くちびるを離すと、稜の顔が少しだけ赤くなっていた。  にや、と口角を上げると稜が今までなにもしていなかった手を橙里の方に向けて差し出してきた。  ───けれど、橙里はそれを掴んでいつも稜が橙里にやるみたいに片手で稜の両手首を拘束する。  稜はかなり驚いたようで、橙里の顔を唖然とした面持ちで見つめてきた。 「今日は、僕が上」  稜の首に噛みついて、歯型を残していく。時折稜が身体に力を入れる。たぶん、声を出すのを耐えているんだろう。  ……そんなの、つまらない。  僕は少しでいいから、稜の声を聞いてみたい。  だから、反応して硬度を持っている稜の雄に手を伸ばした。

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