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甘い休暇14

「っおい、橙里」 「やだ……稜、お願い」  我ながら悪い性格をしている。  稜が橙里のお願いにはとことん弱いと知って、わざとこういうことを言っているのだから。  稜がどうすべきか、と迷っている間にも屹立を片手で扱く。稜は眉間に皺を寄せたままだったけど、明らかに感じている。  よし。  稜が橙里の身体を知っているなら、橙里だって稜の身体を知っている。  稜が好きな弄り方をすると、稜は「っく……」と快感を我慢するように歯噛みした。  どうしよう。  少しだけ興奮してきてしまった。  やはり好きな人が感じているところや顔を見ると嬉しくなる。  戸園が言っていたように、抱く側の気持ちは抱く側にしかわからない、というのは本当にその通りだと思う。  さあ、さあ! もっと僕に声を聞かせて! 「おっ、まえ……なに、考えてやがる」 「稜にね、気持ちよくなってほしい」 「だったら抱かせろっつの……くっ、おい……!」  なんとなく、稜が暴れそうになったので屹立をぎゅっと締めつけるように握ってみた。  すると稜が声を出しそうになったので動きを止め、睨みつけてきた。けど、感じていて目が蕩けているので迫力がまるでない。  そのまま上下に速いスピードで扱く。……すると。 「ぁ……、とう、り。まじで、やめ……っ、う」 「……!」  稜が喘いだ。  喘いだ……! 橙里とやっていても滅多に声を出さないこの男がついに……!   「稜、気持ちいい?」 「……う、るせ。くそ……早く終わらせろ、馬鹿野郎」  いくら憎まれ口を叩かれても、今は橙里が優勢なのでなんとも思わない。  稜の顔を見つめてにやっと笑うと、稜が舌打ちをした。  ちょ、おい。  先っぽをぐりぐりと親指で刺激して、ぎゅっと握ると稜の顔がさらに快感に染まる。  困った……稜がちょっとだけかわいく見えるぞ。

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