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甘い休暇18
身体の力を抜いた途端、稜はかなりの速いスピードで、強くがんがんと突いてきた。
本当に気持ちいいと、声が出ない。
橙里の口から出るのは、僅かな喘ぎと激しい息遣いのみとなった。
「っは……ぁ、はあっ、は……っ、あ……!」
柔らかな快感ではなく、鮮明な快感を知った橙里の身体は、稜を受け入れようとして締めつけた。
稜の動きが一旦止まる。
「っ、く……」
「んん……! は……」
中に、熱い粘度を持った液体が流れ込んできた。
稜が達した。
生理的な涙で滲む視界には、滅多に見ることができない快感に染まりきった稜の顔が映る。
目が、合った。
妖しく稜が微笑み、橙里の頬に滑る涙を拭った。
手つきは絹のように優しい。けれど───
「っ……! は、ぁっ、ああっ……」
また、激しく抽挿が開始された。
留まることを知らず、一切手加減されずに快感をまた与えられた。
数分間の間互いに言葉を交わすことはなかったが、稜は蕩けに蕩けきった橙里の顔を慈愛に満ちた顔で見つめ、毒を注ぎ込むように告げる。
「なぁ、橙里」
「んくっ……んん、?」
「もう俺のこと抱こうとか思わねえだろ?」
こんなに蕩けやがって、とつけ足した。
声色には、絶対的な自信が滲み出ている。
それに頷くのは悔しいけれど。
全く持ってその通りなため、橙里は何度もこくこくと頷いた。
満足したのか稜は橙里の手の甲に王子がやるように口づけをし、腰を振り始めた。
甘い交わりだけでなく、このように、何かの動物のように互いを求め合うものも悪くないな、と思った。
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