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甘い休暇19
「死ぬ死ぬ死ぬ……」
「なんでそんなじじいみてえな声してんだよ」
「稜が散々やるから……! いってぇ!」
上質な布団の上でうつ伏せになり、稜に腰のマッサージをしてもらっている最中だ。
あれから一時間近く交わり、露天風呂から出て部屋に戻ってくるも収まるはずがなく、見事に三度も稜が達するまで行い、あとは想像して貰った通りだ。
腰が、悲鳴を上げた。
ついでに喉も壊れた。
「あのな、忘れてんのかもしんないけど三十路だぞ? 二十代じゃねえんだぞ?」
「……悪い。全然聞き取れねえ」
「この……うあっ!」
反論しようとした途端に力を入れられる。
激痛だが、これをすれば翌日は怖くない。我慢だ、我慢。
なにも、稜だけが悪い訳ではない。
橙里も終盤になると狂ったように稜のことを求め、強請り、懇願した。
……要するに、どっちもどっち。
「はーあ、これじゃ性欲より先に身体が枯れる」
「んな乱暴には抱かねえよ。いつも優しくしてるだろ」
「優しく……?」
「……してるだろ」
声が段々小さくなりやがった。
中々毎度無茶をさせられているが、結局のところ橙里もそれを受け入れているのでなんとも言えない。
どうしても、稜に求められると拒否ができないので困ったものだ。
これが惚れた弱みというやつか?
厄介なものだな。
「しょうがねえだろ。おまえとやると我慢できねえの」
「開き直るな。あーあ、僕が稜より背が高ければ立場逆転してたはずなのにな……」
くそ、と痛い喉で訴えると稜が少し考えるように沈黙し、マッサージをしながら聞いてきた。
「そういえば、なんでおまえ俺のこと抱こうとしたの」
「え? あー……」
どうしようか。
抱く側の気持ちを理解したかったとか、そんなことを言ったら鼻で笑われかねない。
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