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あの二人3
おっと、そろそろ掃除に戻らないと羽村さんにキレられる。
あの人かわいい面してめっちゃ厳しいんだよな……
「じゃあ、俺戻るんで」
「ああ。意外と面白いんだな」
「……へっ」
まさか、笑うことはないと思っていたこの人が俺に向かって笑いかけてる……!?
やっぱり橙里さんが変えたんだろうなあ……
すげえなあの人。一人の性格とか変えちゃうほど影響力あるとか。
それとも愛の力? 必ず最後に愛が勝つってか。
「おーい、樹ー」
「はーい」
「もうそろそろ出るから準備しろー」
「おっけー」
急いで箒で髪を集め、掃除を終わらせて階段を登る。
美容室の上には色んな部屋があり、その中の一つの部屋に入って自分の鞄を取る。
すると、中には瀬島さんがいた。
「あれ? 今日来ないんじゃないの?」
「閉店後に練習しようと思って。明日、バイオリンの発表会の子がオレを指名してくれたからさ」
「……真面目だなあ」
つい、口が緩む。
もちろん橙里さんとか蒼樹さんとかは好きだけど、こういう意味で好きなのは瀬島さんだけだ。
「今日ももちゃん家でしょ? 迷惑かけんなよー」
「かけないよー」
手を振ってから、階段を下りて稜さんの元へ向かう。
……俺を見てから微笑んだ稜さんがイケメンすぎて乙女になりそうだった。
*****
「……ここ!? でっかー!」
橙里さんと稜さんの後について行って、辿り着いたのは超でかい高層マンション。
でかい、というのは聞いていたけどこんなにでかいとは……
こりゃ開いた口も塞がらないっすわ。
「おーい、樹ー。だらしない顔になってるぞ」
「あっ、すいません」
「まあその気持ちわかるけど。さっさと入るぞ」
二人の愛の巣がここにあるのか……
橙里さんの後ろ姿がなんかそわそわして見えるのは気のせいか?
てか、ここに来る道中も思ったけどこの二人やっぱ仲良い。
こう……話している雰囲気が夫婦だった。俺はその様子を見ているだけでよかったのに、二人は優しいから俺にも話を振ってくれた。
え、何なの。神?
「おい、なに止まってんだよ」
「あ、ごめんなさい神さま」
「ふざけてんのか?」
はい。
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