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あの二人5

「んな怒ることねえだろ」 「はーぁ? それじゃおまえ僕が樹と話してるとき稜の性感帯に関して言ってたらどーよ」 「おまえ、まだ俺の性感帯知らねえじゃん」 「っぐぅ……!」  あー、はいはい。痴話喧嘩は他所でやってくださいねー。  やば、顔が勝手に緩む。  この人たち面白すぎ。家に監視カメラつけてずっと見てたい。 「それは、稜が僕がどこを触っても一切反応しないのが悪いんだろ!」 「いや、橙里の触り方が下手なんだよ。橙里は俺のこと好きだから俺がどこ触っても喘……」 「わーわー! てか、僕だって稜のこと好きだし!」  橙里さんが大声でそう叫びながら稜さんの口を塞いだ。  えー……稜さん、絶対楽しんでるよな。それで橙里さんは気づかずに反論している、と。  この人たちのこと、十歳くらい上だと思えない。子ども同士の言い合いを見ている気分になる。  同年代って言われても誰も疑わないよなあ……  てか、俺がいること知ってるかな。  キスとかしたらさすがに止めよう、うん。  ……いや、どういうキスの仕方するのか気になるから五回くらいしてから止めよう。 「……まじで稜の性感帯ってどこ?」 「触って教えてやろうか」 「ぃっ……っちょ、おまえ樹いんのわかってる!?」  あー、終わっちゃった。  成程。稜さんの性感帯の一つは耳。  なんの得にもならないだろうけど、一応覚えておこ。  俺がニヤニヤした顔を隠すために片手で口を覆って二人のことを見上げると、橙里さんがさらに顔を赤くした。  え、なになに。 「樹……おまえ、止めろよ……」 「さすがにキスしだしたら止めようと思ってたよ」 「なんでだよ!」  ナイスツッコミ。 「にしても、俺びっくりしました。稜さんってこんなに橙里さんに対して甘々なんすね」 「は? このどこが甘々」 「ふぅん、最初侮ってたけど、おまえいいな。極上のワインご馳走させてやるよ」  あ、橙里さんが無視されてしゅんってなった。  それよりそれより、極上のワインって言った?  もしかして、俺稜さんのお気に入り?  そんで橙里さんほっぺ膨らまして嫉妬してるし。なに、このかわいい生き物。

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