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あの二人7
「まあ、いいと思うよ。エッチな橙里さんも……ブフッ」
「……いーつき。僕、今包丁持ってるんだよなあ」
「さーせん」
刺される。
とりあえず大人しくしていると、奥の方から稜さんがやってきた。
数本のワインを手にして。
「お、なんすか? それ」
「アルコール度数は中々高いが、風味はいい。酒が強いならこれくらいは平気だろう」
そう言いながらニヒルに笑った稜さん。橙里さんと一緒に飲んでたらあまり飲めないだろうから、これを機に飲もうとしてるんだろう。
いーねいーね。
べろんべろんに酔っ払った橙里さんのことも見てみたいし。
そこで稜さんが「しょうがねえな」とか言ってお姫様抱っこして、橙里さんが「えへへー、稜の肌冷たーい(はあと)」って言って「……かわいすぎるだろ」って稜さんがなっておっぱじめたりしないかな。
あ、想像したら口が。
稜さんのキャラ崩壊してるし。
「橙里さんってどれくらい酒弱いんすか?」
「ハイボール一杯で酔う。芋焼酎一杯で笑い上戸になって疲れ果てて寝る」
「……あの、怒んないでくださいね」
「なんだ」
「うざくない?」
「うざい」
笑い上戸って。泣き上戸とかキス魔よりかはましなんだろうけど、酒強い稜さんからしたらとてつもなく面倒じゃね?
まあ、うざいって言いつつ表情柔らかいから説得力ありませんけどね!
「てか、詳しいっすね」
「……飲ませてみたんだよ。どうなるかと思って」
「で?」
「抱き潰した」
「……くふっ」
結局それが目的かよ……まあ、稜さんむっつりしてそうだし。
むっつりイケメンフェロモンだだ漏れ星人……
あ、やばい。ツボる。
「おまえな、馬鹿にしてるけど橙里のかわいさわかるか? なあ。あの顔が蕩けきって俺の腕を掴んでくるんだぞ? あの顔でだぞ?」
「……男冥利に尽きるってやつ?」
超小声で話してるから橙里さんには聞かれてないけど。
稜さん……こんなこと話すんだ。すげー意外。
もっと聞きたい。いや、その前に俺の表情筋が。
「しかも……いつもは照れて口でやったり上で動かねえくせに」
「酔った時は自分から上で腰を振る、と」
「……おまえ、最高だな」
「まあ俺も男? ですし? つーか稜さんに共感しまくりっすわ」
あまり職場の先輩のエッチ事情とか聞きたくないけど。橙里さんだからいーや。
聞かせて! ぷりーず!
「んで、あれでしょ。こっちが本気になろうとしたらこてんって寝ちゃって、結局橙里さんの寝顔見ながらしこしこやっちゃうんでしょ」
「ああ」
「朝になったら橙里さんはすっかり忘れてて、首についたキスマークやら身体のダルさやらで痴態晒したって知って稜さんの肩ぽかぽか叩いたり?」
「樹、天才か?」
ええそうですとも!
ってか、さっきから稜さんのキャラ崩壊激しくない? 大丈夫、これ。ショック受けてない? みんな。
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